東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。
「デザインの手本」は、デザインの教科書
Dec 08,2016
皆さんは、鈴木成一というエディトリアルデザイナーを知ってますか?
エディトリアルデザインの分野で賞も受賞している単行本の装丁をする人です。
今まで手掛けた書籍は1万冊以上とのことなので、相当な数の本の装丁をやられているデザイナーです。
彼が去年出した「デザインの教科書」は、デザイナーに限らず、ここ数年稀に見る必読の書籍だと思います。
会社のスタッフ全員にも伝えましたが、デザインのバイブルです。
こちら、その名もズバリ「デザインの手本」
僕は以前、彼がデザインを手掛けたハードカバーの書籍を集めていた時期がありました。
それは主にデザインを手に入れる目的で買っていたのであって、特に作家の文章に興味があるわけではなかった。
レコードのジャケ買いと同じで、パッケージに買わせる力があったわけです。
ただレコードと違うのは、中身は読まない本がたくさんあったということ 笑
中でも特に村上龍のシリーズは集めていました。
シリーズなのに毎回装丁が違っており、それなのにどこかに共通点があって、書店で発見するたびに驚きがありました。
それは主にデザインを手に入れる目的で買っていたのであって、特に作家の文章に興味があるわけではなかった。
レコードのジャケ買いと同じで、パッケージに買わせる力があったわけです。
ただレコードと違うのは、中身は読まない本がたくさんあったということ 笑
中でも特に村上龍のシリーズは集めていました。
シリーズなのに毎回装丁が違っており、それなのにどこかに共通点があって、書店で発見するたびに驚きがありました。
村上龍「すべての男は消耗品である」「自殺よりはSEX」
「デザインの教科書」の中で彼は以下のように言っています。
村上龍の一匹狼的な 孤高のイメージ、尖った感じを 資材と加工でどう表現するか?が課題だった。
インパクトを与えるにはシンプルで素材感を強調する方が効果的ではないかと判断した。
なるほど。
この文章からもわかるように、本に性格=パーソナリティを与えることが装丁デザイナーに求められる職能だと思います。
鈴木一成はこうも語っています。
作品をつくっているわけではない、 大量生産品の一端を担っているという意識。
コンテンツがなければ始まらない。
ボールを蹴ろうとしている人に対して より遠くまで飛ぶ手伝いをするだけ。
ボールがそこになければ何も始まらない。
まさに、ブランディングですね。
書籍なら作家の表現したい言葉や文字、 会社ならターゲットに届けたいビジョンや戦略、 その企みを消費者により強く届けるために デザインがあるのだと松本は思います。
村上龍の一匹狼的な 孤高のイメージ、尖った感じを 資材と加工でどう表現するか?が課題だった。
インパクトを与えるにはシンプルで素材感を強調する方が効果的ではないかと判断した。
なるほど。
この文章からもわかるように、本に性格=パーソナリティを与えることが装丁デザイナーに求められる職能だと思います。
鈴木一成はこうも語っています。
作品をつくっているわけではない、 大量生産品の一端を担っているという意識。
コンテンツがなければ始まらない。
ボールを蹴ろうとしている人に対して より遠くまで飛ぶ手伝いをするだけ。
ボールがそこになければ何も始まらない。
まさに、ブランディングですね。
書籍なら作家の表現したい言葉や文字、 会社ならターゲットに届けたいビジョンや戦略、 その企みを消費者により強く届けるために デザインがあるのだと松本は思います。
岡本太郎「強く生きる言葉」
それは岡本太郎の単行本にも表れています。
岡本太郎の本に関する鈴木成一の言葉です。
書体には言葉を活性化させる力がある。
惹きつけられる装丁の多くは文字が特徴的。
本の個性をさらに強化するためには、タイトルの「形の見え方」へのこだわりはますます欠かせないものになっている。
僕はこの本を読むまで、岡本太郎の単行本の表紙にある手書きの文字は、本人によるものかと思っていました。
実はデザイナーがこだわり、試行錯誤しながら作った「自立した気骨ある」書体。
デザイナーの企みだと気づかず、見る側には自然に入ってくる、これがあるべき姿だと思います。
岡本太郎の本に関する鈴木成一の言葉です。
書体には言葉を活性化させる力がある。
惹きつけられる装丁の多くは文字が特徴的。
本の個性をさらに強化するためには、タイトルの「形の見え方」へのこだわりはますます欠かせないものになっている。
僕はこの本を読むまで、岡本太郎の単行本の表紙にある手書きの文字は、本人によるものかと思っていました。
実はデザイナーがこだわり、試行錯誤しながら作った「自立した気骨ある」書体。
デザイナーの企みだと気づかず、見る側には自然に入ってくる、これがあるべき姿だと思います。
3つあるうちの左側がベースとした太ゴの既存書体、右側が加工途中でバラバラにした状態、真ん中がそれらをつないだもの、最終的にそれに斜体をかけて完成(左ページ)。シャープさと緊張感が生まれています。
ベースはモリサワのA1明朝。それにボカシのフィルタをかけて怖い雰囲気に。点をひっくりかえしてさらに違和感を演出。物語やコンセプトにあわせた、オリジナルで作ったタイトル書体を見ただけで、本のパーソナリティが伝わる素晴らしい仕事の数々。
彼の書体に対する並々ならぬ努力は、本を読んでいて本当に勉強になる。
デザインの80%は文字によって決まるという、先輩のエディトリアルデザイナー、細山田さんが言っていた言葉のように、装丁デザインの要はタイトル文字にあるということが繰り返し出てきます。
既存書体をそのまま使っている事例がほとんどない。
分解したり、再構成したり、斜体をかけたり、既存書体をアレンジして本の内容にあったタイトルフォントを作り出すアイデア、プロセスは本当に勉強になります。
デザインの80%は文字によって決まるという、先輩のエディトリアルデザイナー、細山田さんが言っていた言葉のように、装丁デザインの要はタイトル文字にあるということが繰り返し出てきます。
既存書体をそのまま使っている事例がほとんどない。
分解したり、再構成したり、斜体をかけたり、既存書体をアレンジして本の内容にあったタイトルフォントを作り出すアイデア、プロセスは本当に勉強になります。
アンダーグラウンドな人たちを紹介する書籍では、闇の世界で暗躍する人たちをイメージさせるために黒インクの上に黒の箔押しで表現。手描きの文字はすべて鈴木さんによるオリジナル。活版のような粗悪印刷のカスレはフォトショップで加工。ため息出ます。
最後に鈴木成一の印象的な言葉を紹介しておきます。
平面的な組み合わせをあたかも人格として、 人間の外側にあって自立する「精神のカタチ」として成立させる努力をする。
その執着が「見せるべき何か」となり、魅力的なモノになる。
単なるグラフィックデザインではなく、精神のカタチを作ることが目的であり、それはデザイナーの執着から生み出されると言っています。
デザインの力で精神のカタチを作る・・・・すごいことですよね。
忙しいからやらない、クライアントにそこまでは求められていない、予算がない、色々な理由はあるかもしれない。
しかし、自分が納得するためには1つ1つの仕事が、重要なのです。
仕事をしていく上で、この「執着」を決して忘れてはいけない、そう改めて思わせてくれる素晴らしい手本書です。必読。
平面的な組み合わせをあたかも人格として、 人間の外側にあって自立する「精神のカタチ」として成立させる努力をする。
その執着が「見せるべき何か」となり、魅力的なモノになる。
単なるグラフィックデザインではなく、精神のカタチを作ることが目的であり、それはデザイナーの執着から生み出されると言っています。
デザインの力で精神のカタチを作る・・・・すごいことですよね。
忙しいからやらない、クライアントにそこまでは求められていない、予算がない、色々な理由はあるかもしれない。
しかし、自分が納得するためには1つ1つの仕事が、重要なのです。
仕事をしていく上で、この「執着」を決して忘れてはいけない、そう改めて思わせてくれる素晴らしい手本書です。必読。
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