夜明けのすべて
「好きな映画はありますか?」
たまにされるこの質問。
「うーんなんだろう、ハリーポッターとかかな〜」
と正直その場で思いついたものを適当に答えてきた人生でした。
(ハリーポッタ自体は素晴らしいシリーズですが!)
そんな私が昨年「この映画が好きだ!」と思える作品に出会えたので、今日はそのお話を紹介します。
それは、「夜明けのすべて」という作品です。
原作は瀬尾まいこさんで、映画では三宅唱さんが監督となり、松村北斗さん、上白石萌音さんのW主演で映像化されました。
2024年2月に公開され、ベルリン国際映画祭に正式招待されたり、数々の賞を受賞しているので映画好きの人はもう観ている人も多いかもしれません。
つい最近だとアカデミー賞に3部門ノミネートされているので、今はその結果が楽しみです。
ざっくりと概要を説明すると
物語はPMS(月経前症候群)に苦しむ藤沢さんとパニック障害を抱える山添くんの二人を軸に展開されます。
それぞれが生きづらさを抱えながらも、お互いが少しづつ寄り添い、栗田科学で働く人たちの理解に支えながら働く様子を描いていきます。
この映画の好きなところは
・悪者が出てこないこと
・大きな事件が何も起こらない、普通の日常を淡々と描いていること
・男女二人がメインでありながらありふれた恋愛映画にしなかったこと
・16mmフィルムの映像の質感と作中の音楽に独特の温かさがあること
など、無限に喋れてしまう気がするのでこの辺にしておきます。
山添くんと藤沢さん、二人のキャラも中々に濃いなあと思いつつも、それぞれに共感できる部分があり久々に映画を見て泣きました...笑
あと二人が所属する「栗田科学」は理想郷だと言われたりしてますが、個人的に雰囲気がどことなくdigと似てるなと思ったり。
会社の規模感(社員数)が近しいこともありますが、お互いのことを気にかけていながら、程よい距離感が保たれているのが好きなところです。
個人的注目ポイントとして、もしこれから観る方がいたら、作品の進みと山添くんの服装や行動の変化にぜひ注目してください!
終盤に制服を着て自転車を漕ぐシーンとかね、、本当に、、グッときます。
また、この作品の印象的だったフレーズを1つ紹介すると、「夜明け前が一番暗い」というセリフがありました。
もともとは、イギリスのことわざだそうですが
太陽ではなく地球が動き続けることで明るい時(朝)もあれば暗い時(夜)もある。
苦しい状況は終わりがけが一番辛いが、
そこを抜ければ必ず事態は好転すると言う意味があり人生と似ているな~と思ったり。
「苦しい中にも希望や救いはある」、
この作品のメッセージをよく表している言葉です。
似た言葉に「あけない夜はない」がありますが、それよりもしっくりくる気がしました。
(※以下、ネタバレを含みます)
山添くんも藤沢さんも持病が治ったわけではないけど、人との関わりの中で自分や周りとの向き合い方が少しずつ上手くなり、生きがいを見つけていく。
明確な人生大逆転ハッピーエンド!とかじゃないのが余計に良いなと思います。
恋愛感情とかではなく、ただ目の前に困っている人がいるから何か自分が力になる。
人が持つ優しさにそっと気づかせてくれるし、「夜明けのすべて」を観ると自分もより誰かに優しくしようと思わせてくれます。
心のお守りとして疲れたなと思った時は見返したい、そんな作品です。