東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。
あの「宣伝会議」の仕事 前半
Jan 17,2017
それは突然の電話からでした。
表紙含め、丸ごとリニューアルする月刊誌のコンペがあるのですが、参加しませんか?という内容でした。
3社コンペになるけれど、それでもよければと。
2015年11月に新しくリニューアルした「宣伝会議」
同じタイミングで誌面のデザインもすべて一新しました
うちの会社は営業をまったくしていないので、その出版社がどこでうちの会社の情報を目にしたのかわかりませんでしたが、仕事がスタートするきっかけとは得てして大体このようなものです。
電話の相手は、宣伝会議の編集部でした。
リニューアルする雑誌も「宣伝会議」。
歴史ある有名な雑誌です。
少し前に100年続く雑誌として、同じくうちの会社でアートディレクションを担当している月刊誌「新美容」を紹介しましたが、宣伝会議も1954年の創刊で、2016年10月号で900号を迎えました。
広告・マーケティング・クリエイティブの総合誌。
広告を出稿するメーカーやサービス業、流通企業の広告・マーケティング担当者が主な読者です。
このコンペへの参加を断るはずもなく、限られた期間で提案書の作成に取り組みました。
いただいた課題は主に以下のような内容でした。
・無機質にならないビジネス専門誌を目指したい
・そのために人、社会、生活が感じられるような誌面としたい
・表紙のイメージも大きく変更し、ロゴを含めて提案して欲しい
僕たちが感じていた「宣伝会議」の雑誌のイメージは2つ
a. 読者にとっての優れた教科書・参考書である
b. 誌面・内容にクリエイティブトレンドが感じられる
デザインに求められる機能として、1は情報が読みやすく、わかりやすいこと、2は楽しく情緒価値が高いこと、
これら相反する2つの要素に応えなければならない、
そしてやるべきことを一言で言えば、雑誌にステータス感があるべきだと強く感じていました。
受験生だって、数多くある参考書の中でも、カッコよくてタメになる、しかもゴリゴリではなく、スマートで読みやすい参考書の方がよいに決まっているのです。
そして、できるヤツが読んでいる参考書には、ステータス感があるものです。
リニューアル前のデザインを点検した結果、3つの改善点があることもわかりました。
A.デザインに1冊を通した共通の視点がない
B.自由度の低い固定フォーマットの連続で堅苦しい
C.デザイン面で読み手の興味を引くような仕掛けが少ない
最後のフィニッシュは、別の組版の会社が担当する(決められたデザインに文字を流し込む作業)ということで、結果Bのようなことが起きてしまうこともわかりましたが、それでも工夫できる余地はまだあると分析の段階でわかっていました。
ただ問題はどうやって解決するか・・・
電話の相手は、宣伝会議の編集部でした。
リニューアルする雑誌も「宣伝会議」。
歴史ある有名な雑誌です。
少し前に100年続く雑誌として、同じくうちの会社でアートディレクションを担当している月刊誌「新美容」を紹介しましたが、宣伝会議も1954年の創刊で、2016年10月号で900号を迎えました。
広告・マーケティング・クリエイティブの総合誌。
広告を出稿するメーカーやサービス業、流通企業の広告・マーケティング担当者が主な読者です。
このコンペへの参加を断るはずもなく、限られた期間で提案書の作成に取り組みました。
いただいた課題は主に以下のような内容でした。
・無機質にならないビジネス専門誌を目指したい
・そのために人、社会、生活が感じられるような誌面としたい
・表紙のイメージも大きく変更し、ロゴを含めて提案して欲しい
僕たちが感じていた「宣伝会議」の雑誌のイメージは2つ
a. 読者にとっての優れた教科書・参考書である
b. 誌面・内容にクリエイティブトレンドが感じられる
デザインに求められる機能として、1は情報が読みやすく、わかりやすいこと、2は楽しく情緒価値が高いこと、
これら相反する2つの要素に応えなければならない、
そしてやるべきことを一言で言えば、雑誌にステータス感があるべきだと強く感じていました。
受験生だって、数多くある参考書の中でも、カッコよくてタメになる、しかもゴリゴリではなく、スマートで読みやすい参考書の方がよいに決まっているのです。
そして、できるヤツが読んでいる参考書には、ステータス感があるものです。
リニューアル前のデザインを点検した結果、3つの改善点があることもわかりました。
A.デザインに1冊を通した共通の視点がない
B.自由度の低い固定フォーマットの連続で堅苦しい
C.デザイン面で読み手の興味を引くような仕掛けが少ない
最後のフィニッシュは、別の組版の会社が担当する(決められたデザインに文字を流し込む作業)ということで、結果Bのようなことが起きてしまうこともわかりましたが、それでも工夫できる余地はまだあると分析の段階でわかっていました。
ただ問題はどうやって解決するか・・・
特集に合わせてイラストを描き起こし、読み手の興味を引くよう工夫しています
時代のトレンドを反映したデジタルマーケティングや広告の話題が多いため、どうしても最新のIT技術や統計的なデータ分析を紹介するページが多くなります。
そのためリニューアル前のデザインでは、課題にあがっていたような、人々の生活や温かみは、あまり感じられませんでした。
多くのページが、固定のフォーマットというのも1つの要因だったと思います。
インテリジェンスでありながら、砕けた面白みのあるデザイン要素を入れれば、それはある程度改修できると確信していましたが、月刊誌という短期スケジュールでそれを毎月行うことは可能だろうか?
特に毎号統計データの分析結果をインフォグラフィックスで表現していた表紙は味気なく、雑誌をムックのHow to本のように見せてしまっている一因でもありました。
じゃそれに代わる新しい毎月の表紙のグラフィックは何にすれば??
限られた予算と期間で実現できる手法は?
むずかしい課題でした。
提案は、現状ページの問題点をテーマごとに指摘し、それに対する改善案を1つ1つ述べる形で作りました。
細かい部分は割愛しますが、行った提案の骨子は以下の4点です。
1、専門性が高く、難しい内容であっても、柔らかく魅せる
2、1冊全体の中で、つながりを意識した統一感を出す
3、特集ごとに、できるだけ異なるテイストを挿入する
4、大きな特集の中の1テーマということが視覚的にわかるよう考慮する
そのためリニューアル前のデザインでは、課題にあがっていたような、人々の生活や温かみは、あまり感じられませんでした。
多くのページが、固定のフォーマットというのも1つの要因だったと思います。
インテリジェンスでありながら、砕けた面白みのあるデザイン要素を入れれば、それはある程度改修できると確信していましたが、月刊誌という短期スケジュールでそれを毎月行うことは可能だろうか?
特に毎号統計データの分析結果をインフォグラフィックスで表現していた表紙は味気なく、雑誌をムックのHow to本のように見せてしまっている一因でもありました。
じゃそれに代わる新しい毎月の表紙のグラフィックは何にすれば??
限られた予算と期間で実現できる手法は?
むずかしい課題でした。
提案は、現状ページの問題点をテーマごとに指摘し、それに対する改善案を1つ1つ述べる形で作りました。
細かい部分は割愛しますが、行った提案の骨子は以下の4点です。
1、専門性が高く、難しい内容であっても、柔らかく魅せる
2、1冊全体の中で、つながりを意識した統一感を出す
3、特集ごとに、できるだけ異なるテイストを挿入する
4、大きな特集の中の1テーマということが視覚的にわかるよう考慮する
グラフや表組、柱含め、特集内では色数、エレメントをすべて統一
内容が堅いレポートであっても、堅苦しくならないよう視覚的な工夫を
結果、この3社コンペでdigが月刊誌「宣伝会議」を新しく担当することになります。
担当してから今年で2年目に入りました。
嬉しかったですね。
スタッフたちと一緒に大切な経験ができました。
この提案を通して、自分も得られることがたくさんありました。
雑誌も間違いなくブランディングだということ。
Webがメインと言われる時代の中で、紙媒体がどうあるべきか、
普通のエディトリアルのデザイン事務所なら、まず紙から発想し、Webをサブとしか捉えないと思いますが、今回はWebから紙を見直すという逆のアプローチを試みました。
それはもはや、ユーザーのコンタクトポイントは紙ではなくデジタルデバイスであり、それらの情報をまとめた評論や分析がこの雑誌の強みだということ、
最新のIT技術で人々の欲望をどのように動かすか、その手法や活動を報告するアニュアルレポートのような内容をエモーショナルに魅せる特集だと考えれば、必然のアプローチだと思います。
コーポレートサイトの実績はこちら
http://www.dig.co.jp/experience/detail.php?id=112
後半の記事では何をどのように変更したのか、もう少し具体的に説明したいと思います。
そして制作のプロセスも少し解説してみます。
担当してから今年で2年目に入りました。
嬉しかったですね。
スタッフたちと一緒に大切な経験ができました。
この提案を通して、自分も得られることがたくさんありました。
雑誌も間違いなくブランディングだということ。
Webがメインと言われる時代の中で、紙媒体がどうあるべきか、
普通のエディトリアルのデザイン事務所なら、まず紙から発想し、Webをサブとしか捉えないと思いますが、今回はWebから紙を見直すという逆のアプローチを試みました。
それはもはや、ユーザーのコンタクトポイントは紙ではなくデジタルデバイスであり、それらの情報をまとめた評論や分析がこの雑誌の強みだということ、
最新のIT技術で人々の欲望をどのように動かすか、その手法や活動を報告するアニュアルレポートのような内容をエモーショナルに魅せる特集だと考えれば、必然のアプローチだと思います。
コーポレートサイトの実績はこちら
http://www.dig.co.jp/experience/detail.php?id=112
後半の記事では何をどのように変更したのか、もう少し具体的に説明したいと思います。
そして制作のプロセスも少し解説してみます。