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トレンチコートは銭型警部より女子が似合う

仕事
Sep 19,2019

僕が大学生の時、海外へ行くといえば圧倒的にヨーロッパでした。

アカデミックな美術ならイタリアへ、服飾ならパリに、そしてデザイン、音楽のカウンターカルチャーに触れたいならロンドンへ、絶対的にロンドンでした。

ビートルズに始まる音楽とストリートカルチャーの融合、そしてポップアートが生まれた国。

みんなが目指したのは、間違いなくロンドンでした。

トレンチコートのマスターピース、アクアスキュータム
90年代に登場したHIP HOPとハウスミュージックによりカルチャーの発信地がNYに移っても、その後2000年代に入ってトミー・ゲレロとスケーター、セレクトショップによりアメリカ西海岸にカウンターカルチャーの震源地が移っても、自分的にはやっぱりロンドンからは離れられなかった。
2010年代に入って、キンフォーク、ACE HOTELによりポートランドにトレンドのフォーカスが集まった後も、です。
今でもLAに興味はほとんどないですね。
AQUASCUTUM MEMBERSは購入者向けのサイト
ロンドンに惹かれ続ける理由には、カウンターカルチャー以外に、007、そして紳士服の聖地という点も大きいです。
2回目のロンドン旅行で、父親へのお土産に買ったのがバーバリーのマフラーでした。
ブランドアイコンで有名なベージュのチェックのマフラー、
カシミア100%はチョー高かったので、カシミア50%の方にしましたが、それでも現地ではすっごい高かったのを覚えてます。
帰国したすぐ後、当時の東京のコギャルたちがこぞってバーバリーのマフラーを首に巻き始める現象が起きて驚きましたけどww
僕とバーバリーの最初の出会いは、17歳の時に父親から譲ってもらったネイビーのトレンチコート。
20代の時に父親が着ていたそのトレンチに袖を通すと、自分も1人前の大人になったような、、一方でどうやって着こなしたらよいのかわからず、大人過ぎてまだ早いという感覚がありました。
第1次世界大戦のイギリス軍の軍服だという背景も知らず、コートになぜこんなに必要のない部品が色々くっついているのだろうと、その理由もわからないまま高校生の時に時々トレンチコートを着ていました。

その後、大学生になったあとも、バーバリーのステンカラーコートを古着屋で購入し、スタイルカウンシルのポール・ウェラを気取っていた松本青年。
当時の僕には英国ブランドと言えば、真っ先に思い浮かべるのがバーバリーでした。
ギャバジンのゴワゴワのコットン生地の内側には、バーバリーチェック。
そして英国のトレンチコートと言えば、バーバリー以外にもう1つ。
バーバリーの1ランク上、上級者が着るイメージがあるのが、アクアスキュータムでした。
社会人になってトラッド好きな上司が着ていましたが、バーバリーと比べると、ブランドアイコンのチェックも狩猟に使われるガンクラブチェックで派手さはなく、玄人好みという印象でした。
でもどちらのコートも高くて、20代の僕には買えませんでしたねぇ。
ホントのところは、トレンチを着るとどうしても昭和の刑事、銭形警部になってしまい、コーディネートの仕方がわからなかった、、、、というのも理由です。
こちらは現代的にモダナイズした女性向けトレンチ
メンズトレンチの王道、キングスウェイ
トレンチコートは女子の方が似合うアイテムだなぁ
あれから数十年。
いまトレンチコートは見直され、街で多く見かけるようになりましたね。
メンズでハンフリー・ボガードや銭形警部みたいな着方をしている人も少数いまずが、中にタートルネックのセーターを合わせたり、カジュアルに着こなすのがカッコいいと思います。
そんな中、自分がまさか、アクアスキュータムの仕事をするとは思いませんでした。
今回はWebに使用するアクアスキュータムのイラストを担当させていただきました。
鉛筆1本、フリーハンドで描いています。
http://trench-members.aquascutum.jp/

アクアスキュータムにはKINGSGATEというクラシックのシリーズがあるのですが、これが究極の定番、マスターピースと呼ぶにふさわしい存在です。
アクアスキュータムの創業はバーバリーより早く、世界初の防水ウール生地の発明をしたブランドであることを考えるとトレンチコートの原型はバーバリーではなく、アクアスキュータムなのかもしれません。
トレンチコートは全部で3タイプあります。
自分にとって、トレンチは特別な存在です。
着た時の勇ましい感じは気恥ずかしさもあり、父に譲ってもらったコートを着た時に感じた大人過ぎてまだ早いという、17歳の時に感じたあの感覚が今でもどこかに残っています。
でも今なら銭形警部以外の着こなしもできるかもしれないなぁ。
個人的に思うのは、こんなにダンディズムあふれる男性用のコートであっても、トレンチは女子の方が似合うということです。
あくまで個人的な趣味かもしれないですけど、、ww
トレンチコートを着て襟を立ててマフラーを巻いている女子の方が、男子が着ているのを見るより素敵だなぁと感じますね。
女子の皆さん、今年の秋は是非トレンチを着てください。
イラストの発注も是非お気軽に。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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