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作文「幸せな選択」松本知彦

私の履歴書
Feb 20,2020

僕は仕事を愛し、家族を愛しています。

どこの会社とは言いませんが、クライアントの大企業の社長ように、社員を仕事に集中させるために離婚を推奨したりはしません。

上場企業だから、大きいからと言ってそんな理念を持つ会社があることが信じられない。

それが本当なら、会社を大きくする選択はしたくない。

6歳の松本少年の作文です
人生には、大切な順番があります。
進路、仕事、恋愛、人生の大切な分かれ道は、心の声に耳を傾け、自分のルールを守ること、
それが幸せへの近道だと思っています。
人が幸せと感じる状態は人それぞれです。
しかし冒頭に書いたように、誰かを不幸にしてまで自分の幸せを追い求めることは、自分に返ってくることだと思います。
僕が大きな会社をやめて、一人で仕事を始めたのは、自分がクリエイティブを愛しているから。
素直にこの仕事が好きで仕方がないからです。

僕は母親から素直でいることが人生を歩む上で、一番大切なことだと教えられました。
自分もできるだけ素直に、色々なものに好奇心を持ち、追求して、いつでも好きなことを好きと言える子供でいたいと思ってきました。
それが以後の自分のルールになりました。
僕がこの仕事を選んだのは、自分の気持ちに素直に従ったからです。
不安もあったし、ゆらぎもありました。
でも好きなことを選ぼうと思った。
クリエイティブの道を歩くことは、そういうことだと思います。
人生において、何かを選ばなければならない時、何を尺度に決めればよいのか、
自分に問うこと、自分で決めた人生のルール、順番に従うこと。

繰り返しますが、素直な心で自分に向き合い、決めた順番を守ること。
好きなことを追求することです。
それがなければ、異なる順位=雑念が入った選択をしてしまう。
それは自分の気持ちに素直に向き合わず、山っ気のある方を選んでしまうことです。
心の声に耳を傾け、素直な気持ちで選択できるかで人生は大きく異なると思います。
世の中の尺度だけで判断してはいけない。
素直にその仕事が好きなのか?パートナーの相手のことが本当に好きなのか?
じゃ好きなところはどこなのか?
自分の心に従って素直な選択ができるかは、育った家庭にも関係があります。
愛情を受けて育った人は、愛情がある状態を素直に求めるし、そこを起点に大切な順番を決めるように思います。

さて、しかしながら、人生の大切な順番のルールを守り、素直な選択をするだけでは足りません。
それだけでは幸せにはなれない。
知っている人もいるかもしれませんが、僕の父親はマンガ家でした。
父は芸術が大好きで、素直にそれを選択しました。
裕福な家庭に生まれた父は、高校の校長先生であった祖父を幼い頃に亡くした後、長男として一家を養っていく立場にありながら、それでも好きな漫画を選びました。
母は真っ白な紙から、自分で絵を描き、ゼロからストーリーを作り出す父のことを尊敬して結婚したと言っていました。
しかし結果、それで家庭は困窮し、専業主婦が9割以上の時代に、母は僕が生まれる前から大人になるまで、ずっと働いていました。
父親の残した仕事は素晴らしいかもしれない。
でも母を思うと、それが正しい選択なのかという葛藤が常に自分の中にあります。

冒頭で、素直な選択こそが幸せの近道と言いましたが、それだけでは足りないと思います。
素直な選択をして、周りの人も幸せにしなければならない。
それが本当の幸せな状態なのではないだろうかと考えています。
僕は仕事を愛しています。
信念があります。
同様に家族を愛しています。
だから家族を幸せにする必要があります。
そして、ここにいるみんなを幸せに導いていかなければなりません。
それこそが、自分がこの好きな仕事を選んだ覚悟です。
僕のやりたいことは、好きなことを選び、まわりを幸せにすることです。
ここは厳しいです。
好きなら結果を出せ、そういう意味があります。
でなければ逃避であり、負け犬です。
みんなもこの仕事を素直に好きだと思って、ここにいるのなら、道はまっすぐです。
みんなも結果を出して周りの人を幸せにしていかなければなりません。
そして僕はここにいるみんなと一緒に、幸せの方向へ歩んでいかなければなりません。
導くために旗を振らねばならない。

第1に素直であること。
人生の大切な順番を守ること。
そこから努力をして周りの人も幸せにすること。
この3つが必要だと思うんです。

父親ができなかったことをやりたい、そういう想いがいつも心にあります。
それは素直な気持ちで選択し、突き詰め、関係する人たちを幸せに導くことです。
これができなければ、好きなことをする意味がありません。
それが僕の信念です。

23年1組 松本知彦

この作文を書いて、朝の会で、スタッフ全員の前で読み上げました。
スタッフの前でこんな話をしたのは初めてです。
これを聞いたみんなが何を感じたかはわかりません。
何も感じなかったかもしれない。
おじさんの身の上話なんてまったく興味ない、ウザい、そう感じた人もいたかも。
身の上話をしたかったのではなく、伝えたかった。
ストーリーの裏にある想いを少しでも知って欲しいと思った。
その日のミーティングは静かでした。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
    青山ブックセンター