談話室松本をリニューアルしました。
これまでの談話室松本はこちらからチェックできます

  1. top
  2. インテリア
  3. 鋭くて優しい、モダンでクラシック、深澤直人のHIROSHIMA

鋭くて優しい、モダンでクラシック、深澤直人のHIROSHIMA

インテリア
Apr 16,2020

皆さんは自宅で座るダイニングチェアはどんなものを使っていますか?

朝昼晩、毎日ご飯を食べる時、家族と団らんする際、あるいは友人がうちに遊びに来た時に座る椅子。

寝ているとき以外、家の中でもっとも身体に触れているのが、ダイニングチェアではないでしょうか。

背もたれの部分に日本工芸の削り出しの技術が映える
ヒロシマという椅子があることを知っているのはインテリア関連の仕事をしている人か、デザイン好きな人だけかもしれないですね。
正式な商品名は「HIROSHIMA」で、作っているのはマルニ木工という会社。
このマルニ木工の本社がある場所が広島なのです。
1928年からずっと広島で活動しているので、かなり長い歴史を持つ会社。
広島に昔からある家具の製作会社が、自社商品に「HIROSHIMA」という名前をつけて、国内だけでなく、海外の市場にも挑戦する。
その意気込みが感じられる商品です。
何かで読んだ記憶がありますが、「HIROSHIMA」という名前には決してポジティブではない印象も含まれているので、果たしてそのネーミングでよいのか迷ったと。
でも逆に言うと、海外のほとんどの人が知っている名前でもありますよね。
その名前で2008年に発表したのがMARUNI COLLECTIONというシリーズです。
参加したデザイナーは深澤直人、そして2014年からは英国人のジャスパー・モリソン。
発売当初、一部では話題にはなりましたが、一般に広まるのには時間がかかりました。
大きな転機はアップルの新社屋の椅子として数千脚が納品されたこと。
今回紹介するのは、その深澤直人デザイン「HIROSHIMA アームチェア」です。
見た目はソリッド、でも座るとほっこりな椅子
肘掛けから背もたれにつながるラインが美しい
マルニ木工の東京ショールームが日本橋にあって、僕は買う前にここで何度も座らせてもらいました。
このショールームがですね、、またちょっとカッコいいんですよ。
昭和4年に建てられたビルをリノベーションしてショールームにしています。
ビル内には古~いエレベーターがあったりして、リノベされているとはいえ、なんとも歴史が蓄積した空気感のようなものが感じられ、静かで人も少なく、美術館のようでとてもよい雰囲気です。
戦前のビルがそのまま残っていて、まだ使えるっていうのがスゴイよね。
ショールームにいたスタッフの人に、マルニ木工の歴史やMARUNI COLLECTIONをやらねばならなかった会社の危機についても聞いちゃいきました。
古いビルで、内装も含めてなんだかロンドンにあるようなお店
ジャスパー・モリソンのLightwoodシリーズ 人工大理石のテーブルが素敵
今回はオーク材で、座面にクッションがついているタイプを選びました。
このクッションは色々なカラーから選べますが(ミナ・ペルフォネンのヴァージョンなどもあります。)もし汚れてしまっても簡単に取り換えることが可能です。
「HIROSHIMA アームチェア」にも、MARUNI COLLECTIONのコンセプトがしっかり落とし込まれていて、座った時にそれを実感できます。
シーンにこだわらず、あらゆる場所でずっと長く使えることを想定したシンプルで精緻な構造の椅子という考え方。
うちのインテリアはベージュと白、床材のライムストーンにも合います
木材の削り出しによる背の部分が見た目ソリッドでカッコいいですが、座ってみるとそんなエッジな感じはなく、落ち着いた包み込まれるような座り心地。
北欧の名作、ウェグナーのYチェアなどよりも、ずっしりしている印象です。
深澤直人が何度もスタディを重ねてこのフォルムを創り出したことが、昨年六本木の21_21で開催されていたデザイナーのマル秘展で展示されていたプロトタイプからも伝わってきました。
ちなみに、深澤直人が手掛けた同じMARUNI COLLECTIONシリーズの1つ、HIROSHIMA folding chairは2013年グッドデザイン賞の金賞を受賞しています。
展覧会では図面と発泡剤で作られたプロトタイプが展示されていました
椅子と脚の角度を揃えて、セットで配置した際にもっとも美しく見えるようにデザインされた無垢材のテーブルやベンチもあります。
オーク材は、長い年月をかけて使うことで色が変化し、もっとよい味になるはず。
楽しみです。

SHARE THIS STORY

Recent Entry

松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
    青山ブックセンター