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ZARAのブランドリニューアルに見る神の仕事

仕事
Apr 24,2020

今日は急速なスピードで次々とリニューアルされていくロゴの話からスタートして、あの大御所の仕事まで一気に行きたいと思います。

家にいて退屈していたら、ちょっとした息抜きに読んでみてください。

みんなが知っているこのブランドのロゴの話をします
SNSの登場によって企業やサービスのロゴが大きく変化しています。
このブログでも次々とリニューアルするアパレルブランドのロゴを例に挙げて、均一化していくロゴについて書きました。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2019/03/sns.html

M/M Parisが手掛けたロエベに始まり(この頃は他ブランドもまだリニューアルする前で、よいサンプルだなぁと思っていた)、スリマンがデザイナーになるとお約束のリニューアルとしてサンローラン、セリーヌ、そして最近では大御所ピーター・サヴィル(今UNIQLOで彼がデザインしたジョイディビジョンのTシャツ売ってます=ちと欲しい)が手掛けたバーバリーまで。
これらには、みな共通したルールがあることに気づくはずです。
サンセリフを使用し、ウェイトのある太い書体、組みはできるだけ横幅が狭くなるようなアプローチになった。
これは言わずもがなで、モバイルでの視認性を意識しているからに他なりません。
ビルの上にある幅20メートルの看板よりも、手のひらに収まるモバイルに消費を牽引する優位性があると判断しているからです。
そこで最大限の効果を導き出すためのリニューアルです。
見ていると、デザインというより、ある制約条件内に収めるための類似記号に見えてきますね
大御所に大金払わなくても、カーニングさえできれば美大の学生でも作れそうですww
僕はセリーヌやバーバリーなど、変更される前のロゴの方が好きでした。
左が以前のロゴ、右が昨年新しくなったロゴ。最近のはみな似てませんか?
さてそんな中でクイズです。
世界最大のスペインアパレル企業が運営するブランド、ZARAはご存知ですよね?
そのZARAが昨年ロゴを変更したのは知ってますか?
まだサインを変えてない店舗もありますが、ショッパーやWebサイトはとっくに変わってます。
気が付きましたかねぇ?
前述したように均一化していくアパレルのロゴの中にあって、ZARAのリニューアルはよいお手本のように思いました。
ブランドは人と同様、その背景にヒストリーがあり、性格もそれぞれ違います。
それを端的に表している要素の1つがロゴマークだと思います。
さて、2011年から長く使っていた馴染みのロゴはどっちでしょう?
ZARAの場合ももちろん、横幅をできるだけ短くしてデジタルに対応しようとしていますが、セリフ書体のキャラクターは残し、今までのイメージの残像を引き継ごうとしています。
各アルファベットは重なりあっていますが、モードだという出自はキープしていますね。
それが同じく長い間使ってきたセリフの書体を捨てて、サンセリフに変更したバーバリーとは異なる部分だと思います。
2019年にロゴを一新。ショッパーも白から茶色に変わりました。
この書体・・・・・僕は最初見た時に感じるものがありました。
この書体と言えば、まさか、あの人がやったのではなかろうかと。
アノ人。。。
80年代後半から2000年代初頭まで、VOGUEやハーパーズバザールなどで活躍したあの大先生です。
予想は的中しました。
調べたら、ファビアン・バロン(Fabien Baron)、その人でした。
使われている書体は、こちらもお約束のdidotです。
フレンチヴォーグの黄金期。ソフィア・コッポラ特集
ちょうど最近、代々木上原にある古本屋でバロンが手掛けた絶頂期のフレンチヴォーグを見つけて、安かったので購入したところでした。
編集長はカリーヌ・ロワトフェルド、写真はマリオ・テスティーノ、そしてテリー・リチャードソン。
アートディレクターはファビロン・バロン。
ソフィア・コッポラの特集でした。
まさに神メ~ンツ(注:NHKの番組LIFEのコーナー風に皆さんでお願いします)
絶頂期の神たちによるコラボ。
カッコよすぎです。
うーん、、、、神の仕事。まさに神メ~ンツ
そういえば、と思い立ち、
同じくバロンが手掛けた昔のバレンシアガの写真集を自宅の本棚から引っ張り出して眺めてみました。
このブランドブックが発売されたのは2005年。
今から15年前。
そこにZARAのルーツがあるではないですか!
やってることおんなじじゃん!!!w
SNSの、、とかモバイルファーストの、、とか書きましたが、バロン先生がやってることは、スマホもなかった時代とまったく変わっていないのでした。
今の時代に合わせたのではなく、自分の引き出しから今に合うものを選んでアレンジしていたのです。
アーカイブとはそういうものなんですねぇ。
バレンシアガのブランドブックの最初に出てくるタイポグラフィ
バロンがADを手掛けたこのブランドブックも神の仕事
それが15年経った今でもまったく色褪せていないどころか、新しいという点に驚愕してしまいます。
さすが神がやることは違うのです。(神メ~ンツ!しつこいけどNHKのLIFE風に!)
サンセリフの書体を使って次々リニューアルしていくハイファッションを尻目に、ZARAのロゴだけが自分にはキラキラと輝いて見えるのでした。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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