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デザインを全国に広げる体験。銀のさらの新事業

仕事
Nov 26,2020

銀のさらを運営している私たちのクライアント、ライドオンエクスプレスの業績が好調のようです。

コロナ禍でみんな外食を控えるようになりました。

レストランはテイクアウト事業に舵を切る方針を選択するしかなく、今ではテイクアウトに特化した新しい業態も生まれてきていますね。

今回バージョン2として手がけた新店舗。
もともと銀のさらは、名前にも宅配寿司とついているように、注文を受けてからバイクで家やオフィスにお寿司を運ぶビジネスを展開してきました。
2年前、そこに新しくテイクアウト事業を加えることを発表。
全国の店舗を宅配だけでなく、テイクアウト機能を持った新しい店にシフトしていくことを決めたのでした。
コロナより前のことです。
その1号店の設計コンペが行われ、弊社を含む4社が参加。
うちの会社が無事これを受注したことは、以前このブログでもお伝えしましたね。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2019/11/post-77.html
2年前に手掛けたテイクアウト1号店。
あれから2年が経ちました。
テイクアウト事業の最初の店舗、浜松中央店をオープンさせたのが2年前。
店舗が完成した1ヵ月で、テイクアウトの注文が店舗全体の売上を押し上げている結果=テイクアウトの効果が数字に表れたことが実証されたために、現在全国にある360店舗のうち、可能な店から少しずつリニューアルに着手。
1号店の仕様をベースに、以後10店舗くらいうちの会社でリニューアルを担当させていただきましたが、今回副社長の意向で、初期からの店舗デザインを見直すことになりました。

初期の店舗を作った時には、スターバックス、ドミノピザなど他のテイクアウト業態を参考にしながら、現代的な和モダンのデザインを意識しつつ、ロゴのカラーを基調とした店舗設計を行ってきました。
今回の見直しは、さらに和を意識しつつ、ロゴのカラーに捕らわれることなく、イメージを柔らかくして欲しいという要望です。
ここまで1号店の仕様をベースに、10店舗ほどリニューアルを担当しました。
銀のさらがある店舗のロケーションは、都心部を除くと、多くがロードサイド(郊外)にあります。
コンビニが退店した跡地に出店する場合も多く、コンビニとして建てられた建築をそのまま利用して作り変えるケースがあります。
誰が見てもそれだとわかる、特殊な建築構造を持った元コンビニの店舗を、限られたボキャブラリーを使ってリニューアルする。
予算はそれほど潤沢にはかけられません。
制限内で、どの店舗にも同じ仕様で、ブランド表現の基準を崩さず、均一に表現するというのが、多店舗展開する際の課題だと思われます。
デザインのバージョンアップは群馬の伊勢崎店から
それまで使用していたエッジの立ったモノクロの色計画を見直し、ブラウンをメインとした柔和なイメージに振り直しました。
木目の面積を多く取り、店舗のイメージカラーをブラウンとベージュに。
サインもステンレスの切り文字バックライトから、箱文字の正面発光に変更しました。
うちの会社でデザインしたマークはそのまま継続してアイキャッチに。
今回のリニューアル店舗は、群馬県の伊勢崎。
1度も行ったことがない場所でしたが、北陸新幹線に乗って高崎で乗り換えて2時間くらい。
店舗があるロケーションは1号店の浜松と似てましたが、浜松より歩いている人が少ない印象です。
みんな、ほとんど車を移動手段にしているんですね。

店舗はもともとコンビニとして建てられた建築です。
セブンイレブンの店舗、茶色のタイルと黒のスチールドア、上部にはプラの発光サインに3色のライン。
誰もが見慣れている、全国で共通する建築の仕様ですね。
それをいかに元コンビニに見えないように工夫できるかというのが課題です。
車で来店するロードサイド店舗であることを前提に、浜松中央店で行ったアプローチと同様、店そのものを発光するサインと位置付けて、今回は和のエレメントを多めに挿入しています。
内装は1号店から変えずに、ロゴマークを使ったオリジナルの壁紙と暖簾で構成しました。
物件は角地にあるので、2面デザインしています。
どうでしょう?
同じ躯体を使ってはいますが、元々ここにあったコンビニ感は、ある程度抑えられているのではないでしょうか。
濃茶のジョリパッドで仕上げたサイン壁面、ベージュの麻の暖簾、今回面積を広く取った木目のルーバーや壁など、茶系をメインとしたトーンの中に、黒のターポリンによる広告を掲載しています。
この店舗もグイグイ売上伸ばして欲しいです
今回定義したこのボキャブラリーを使って、今後全国の店舗の空間設計に落とし込んでいきます。
経営状況がよいこともあって、既存店舗からテイクアウト事業へのシフトは、ここからスピードアップすると伺っています。
今年も残すところあとわずかですが、すでに3店舗の依頼が入っており、ちょっと忙しくなるかも。
しかし、このようにデザインの力をもって、クライアントの経営に寄与できるということは、クリエイティブに従事している者にとって、とても喜ばしいことだと感じています。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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