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リモートと対面、同時進行はそりゃ難しい

私の履歴書
May 25,2021

談話室の更新にかなり時間が空いてしまいました。

楽しみにしていた方(は、いないと思いますが、、、汗)申し訳ないです。

もちろんGWがあったというのもありますが、ちょっと事情がありまして。。。

せっかく大学に行っても講義室に誰もいないと寂しい。
大学で講師をしている話は、以前もここでお伝えしましたが、
今までは教授陣(と私含めて)4人で80名くらいを相手に進行する授業に参加してました。
教授陣が決めたテーマに対して、学生が学んでいくことをサポートする役目で、
まぁ言い方悪いですが、そんなに負荷なく、なんとかできていたと自分では思ってます。

それが春の授業からは、松本一人で授業を受け持ってくれないか?と依頼され、、
人生何事も経験なので、これについて快諾したものの、
聞いていくと自分でテーマを決めて、授業の90分間、
出席を取ることも含めて、すべて1名でやらなければならないことがわかり、
4人で進行していた時に隣にいてくれた教務補助もSAもいないのです。
人生初めての経験。
いえ、大学で教職免許を取るときに、教育実習に行った際、
出席から授業の進行まで全部1人で行ったことはありますが、
今とは事情が違います。
大学だしね。
新校舎が見えてきました。
まず大きな違いとしてリモートの学生がいること、
そのため一人で機器を操作しなければなりません。
しかもフルリモートではなくて、講義室に来てくれる学生もいるので、
リモートも考慮しつつ、対面の学生にも話すという、
今まで仕事でもやったことがない経験です。

当初は緊急事態宣言が出てなかったので
授業は、講義室で対面で行う前提のシナリオを作っていました。
思い返せば大学の授業って、一方的に話す先生ばかりで、
本当に退屈、いえ苦痛の授業もたくさんあったし、
主体的に参加しているという認識も、あまり持てなかったことを覚えてます。
みんな受動的だし、そんな状態では気づきを学生たちに与えることはできません。
ですから、できるだけ対話を多くして、
雑談でもいいから、ディスカッションする時間を多く持ちたいと思ってシナリオを作っていました。
とにかく、気軽に参加してもらう、教育テレビの「しゃべり場」みたいに(古い!)
「YOU」みたいに(もっと古い!糸井重里、YMOと江口寿史)みんなに話してもらう時間にしようと考えていました。
それが直前になり、緊急事態宣言が出ると、
大学からリモートをメインとして、内容を切り替えて欲しいと言われ、、
90分間しゃべりっぱなしの内容に作り変えざるを得ない状況になりました。
まさに自分だけの「しゃべり場」www
新校舎を設計したのは新国立競技場と同じ隈研吾。お金あるなぁ。
もちろん、講義室にみんななるべく来てほしいと
学生たちへのメールには書きましたが、大学側から来ないようにという通達が出ているので
言ってることまったく逆やんwと。
それでも数人の学生は講義室に来てくれましたが。
そうそう、話を戻すと、リモートで参加している学生たちに画面を共有してPCを触りながら、
同時に対面の学生にも説明するというのが、マジで難しいっていう話。
PCから離れられないので、対面の学生に近づけない(実際の距離ではなく)
これがね、、目の前に人がいるのにそちらを見ないで(たまに見るけど)
モニターだけを見て話しているのがもどかしく、、
じゃ、対面の学生とは対話をすればいいやんと思うかもしれませんが、
そうすると、講義室にいる学生たちの発言をマイクは拾わないので、
リモートの人たちには会話の内容、やり取りが伝わらない。
(講義室の学生が話す内容は、自分が代弁してリモート参加者に説明する必要性)
一方で、リモートの学生に質問しても、
何十人もいるので、返事がなかったり、カメラは全員オフになっているので顔も見えず、
本当にPCの前にいるかどうかも定かではないのです。
大学専用のリモート映像システムを使っていて、
ZOOMと同じようなチャットや投票の機能もあるのですが、
学生に確認してみたら、ほとんどの授業でその機能は使ってないとのことで、
学生たちから使い方を知らないと回答があり、、
全員参加の投票やクイズもできない。
チャットを使って、文字によるリアルタイムのコミュニケーションは難しいこともわかりました。
そうなると一人で話すしかない。
スタジオでの収録じゃないし、対面の人もいるというのに
一人でPCに向かって話すというのがなんとも。。
校内に入っても、だ~れもいません。。
機器のセッティングも初めての場所なので時間をロスしてしまいました。
言い忘れましたが、行っている大学はこの春に新校舎を建てたので
去年までとは違って、ピカピカ出来立ての建物で授業をしているのです。
すべて新しい環境なのでまたそれがややこしく。

そんなこんなで、複数回の授業をどうやって構成しようかと考えたり。
対話ができないので、90分ほぼ話しっぱなしの内容に変更すると、
1回あたり140ページくらいのシナリオを毎回作成する必要が出てきて、
これに相当な時間を使わざるを得ないという状況でした。
たぶん90分の授業を準備するのに5、6倍くらいの時間を要します。
慣れないっていうものあると思いますが、
資料を作る時間より考える時間に取られますね。
何を伝えようかというのはもちろんですが、
どうやったら飽きないか、どうやったら興味を持ってくれそうか、
出題はどういうものが適切だろう
それらを考えることにめちゃ時間を使います。
講義室で1人待っている状態
初回の授業は、対面で何人が参加してくれるかわからないけど、
そうだ、講義室に来て発言してくれたらお菓子をあげよう!
と考えて、40個くらいお菓子を買って持っていったら、
来てくれたのはまさかの2名だけ!!笑
残ったお菓子は全部その2人にあげたのでした。。。悲
リモートで発言してくれた子たちには手渡せない。
ありがとう、エアお菓子をあげるね!と伝えるのみで、、、
以前の講師室は、机も椅子も木で出来ていたけど、そっちの方が好きだった。会社みたい。
人に伝えるということは難しいですね
授業が終わったら、毎回レポートの提出を求めているのですが、
教えた内容の理解以前に、提出する書類のフォーマットを渡して
そこに記入して提出してくださいと伝えても
毎回違うフォーマットで提出する学生が必ずいる。
記入するフォーマットを渡してもこんなにズレてしまうのだから、
内容はもっと伝わってないだろうと毎回感じつつ、
どうやってもっと興味を持ってもらえるか、
そしてポジティブに参加してもらえる内容にできるかということを考えています。
仕事より難しい。。

人に伝える、教えることは
案件のワークをこなしていくより、もっともっと難しいことです。
それは答えが1つではないからともいえるわけで、
道徳の授業のように、これについてみんなどう思う?と聞きながら、。
こちらが考えていた答えではない回答を、学生から引き出せればいいなと当初は考えていました。
それはとても難しい。
新校舎は赤羽にあるのですが、いつか帰りにセンベロ体験したい。。
でもこういう経験をすれば、きっと自分に気づきがあると思ってます。
人に教えることは、実は自分が教えられることなのです。
そこには必ず気づきがあり、
その気づきが、次回改善していきたいという想いにつながり、駆り立てられます。
仮説を立ててアクションして、違ったらまた別の仮説を立てる。
間違ったとしても、考えること自体が前進なのだと思ってます。

彼らを成長させたり、彼らに気づきを与えることは、
自分が成長することだと思っています。
なんて、、、偉そうなこと言ってますが、そんなにわかりやすくいかないですけどね。。。
頑張ります。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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