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ホワイトデーもレトロなお菓子パッケージが止まらない

仕事
Mar 28,2023

今年のバレンタインデーに、会社の女子たちから素敵なチョコをいただきました。

絵本で有名なミッフィのカタチをしたチョコレートです。

作者のディック・ブルーナの世界観に沿って、スタッフオリジナルのパッケージデザインが施されていて、さすが!という感じです。

もらって、ミッフィかーと何気なく思っていたんですが、今年はうさぎ年ということでミッフィを選んだとパッケージに書いてあるのを見て、またまたコンセプチャルなニクイことするよねーと。

楽しい贈り物は嬉しいです。

特に最近誰もチョコレートをくれないので、なおさらで、、、泣

今年はバレンタインにミッフィチョコをいただきました。
さて、そんなわけで男子からもお返しをしなければなりません。
いつもならあみだくじで担当を決めてましたが、今年は自分が代表となってお返しを選ぶと男子スタッフに先に伝えました。
なぜなら、ここ最近、バレンタインのイベント自体が会社のイベントのようにもなってきており、全員が快く参加してくれているのだろうか、もしかするとあまり賛同してない人もいるのじゃないだろうかと心配になり。
もらったら嬉しいし、コミュニケーションを図るイベントとしては残したいのだけど、チョコをあげるのは全員ではなくて、あげたいなと思う有志だけでいい。
何かよいアイデアはないかなぁなどと考えていたんです。
でも時間切れとなって女子一同からチョコが届いたので、これを返すのは自分でやろうと思いました。
そっかそっか、うさぎ年だからミッフィのうさぎ6匹なんだねぇ。
さて、自分がやると言ったものの何にしよう。。。。
色々と考えてはみたものの、ミッフィへの回答としては適切じゃないものばかりで。
スカした(カッコつけた)グッズはイメージ違うし、今回はちょっとほっこり微笑ましい方がいいだろうと。
最初に思いついたのは、我らが同級生のカリスマお菓子研究科リカ姉が手掛けるチージィポッシュでした。
でもWebでしか売ってないし、すぐ売り切れでそんなに簡単には買えない。
15個くらい押さえるのは数多すぎて多分難しい。
やっぱり僕たちはクリエイティブの会社だから、クリエイティブを刺激するモノがいい。
チージィポッシュを思いついたのは、もちろん、昨今の焼き菓子パッケージブームを牽引するKIGIのデザインを実際に手に取って触れてみて欲しいという思いからでした。
そう、デザインを体験して欲しいと考えたからです。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2022/12/kigi.html
KIGIの手掛けるチージィポッシュ。すぐ売り切れです。
デザインとインサイトの関係を取り上げて、この談話室でも何度か話してきましたが、この焼き菓子のパッケージブームこそが、デザインがインサイトに成り得るという好例だと思ったんです。
味や歴史ではなくて、デザインが人の欲しい欲望を掻き立てる。
それは人に言われてもわからない、自分で体験しないと。
だから勉学のために、またクリエイティブを職業としている1人として、その戦略に触れて自分のフィルタを通して考察して欲しいという想いがあったんです。
松本がいつも話しているのは、こういうことだよと。
しかし、チージィポッシュは簡単には手に入らない。
じゃ同じKIGIがデザインを手掛けた焼き菓子のオードリー(亀倉雄策賞を受賞したデザイン)でもいいかなーと思って店舗にも行ったんですが、ものの見事に全部売り切れで、あなどっちゃいけないよなーと。
ジャンポールエヴァンのような有名スカし系インポートじゃなく、ロマンあふれる女子っぽいドメスティックな感性のオードリーにまで、男子たちがリサーチに来ていることにオドロキでした。
困ったなー
友人にいただいた村上開進堂のクッキー。かなり貴重な体験です。
そんな中で思いついたのが、ルルメリーでした。
そういえばあったよと。
ドメだったら、マモン・エ・フィーユとか、村上開進堂、ローザーとかも考えたんですが、あまりに王道のど真ん中すぎて、ミッフィの回答としてはふさわしくない。
1870年の創業で、一元さんは買うことすら叶わない村上開進堂のクッキーは、歴史という最大の武器を持ち、誰でも買えない限定感がそれをさらにあおってます。
でもそういう家庭画報的な商品じゃないんだよなー
学びを促したいという目的なら、やっぱりデザインがインサイトになっている商品じゃないと。
揃えたくなるルルメリーのパッケージデザイン。
ルルメリーは、1950年創業の老舗メリーチョコレートが、2017年に新しいコンセプト商品として販売をスタート。
今までのターゲットではなく、新しい人たちを取り込もうとする戦略的なブランドチョコです。
ですから、東京の各所にあるメリーチョコレートの店では売ってない。
そのほとんどがポップアップで販売してます。
ポップアップの出店場所も蔦屋、そしてビームスという・・・
食品売場じゃないやん、という場所です。
アパレルも同時に販売していて、新しいターゲット層に向けて、感度で勝負するという意気込みを感じます。
チョコのアパレルって誰が買うんだろうとはちょっと思いますが。
Rの筆記体に見えますが、言われてみれば「る」ですね。
デザインプランはDRAFT、デザイナーは元DRAFTの川上恵理子さんが手掛けています。
KIGIの2名も元DRAFTでしたから、こういう今っぽいガーリーな、個性ある不思議な世界観のデザインが得意なんでしょうね。
ブランドコンセプトは、「ゆったり流れる『縷々(ルル)』とした時間を芳醇なカカオの香りでお手伝いしたい」となってます。
ルルメリーのルルは、日本語の「縷々」なんですね。。
辞書で調べたら「細く長くとぎれることなく続くさま」という意味で、そういえばロゴはつながっているし、「R」でもあり、「る」にも見える。なるほどね。
日本パッケージデザイン賞を受賞しています。

これもKIGI同様、やっぱり素敵なパッケージで、いわばジャケ買いするインサイトがデザインにあると思います。
男子の自分も見て可愛いなと思うし。
レトロでガーリーなデザインは、何年も前からこうだったようなノスタルジーな感覚がありますね。
グランドピアノが置いてある、黒い電話に白いレースがかかっているような家に似合いそう・・・
でもパッケージだけじゃなくて味も美味しい。
特にショコラサブレがオススメ。
いい意味でヒネってなくてど真ん中、老若男女誰でも美味しく食べられる守備範囲の広い商品です。
そういう意味では趣味やテイストを選ばない、誰にでも喜ばれるギフトだと思います。
あんまり売ってる店がないんですよね。在庫ないし、買うの大変でした。
直感的に可愛い、そして食べた後も箱は取っておきたい、という感覚。
きっと誰にでもあることでしょう。
そうした感覚を呼び覚ましているのは、デザインの力に他なりません。
逆引きすると、感覚を呼び覚ましたいならデザインはどうあるべきか、起点にあったのは顧客のインサイトを探り当てる行為に他ならないと思います。
見えないニーズをデザインによって可視化してビジネスにつなぐ行為。
そこにあるのは仮説思考であり、仮説思考に沿ったコンセプト立案であり、それらはデザインする上で欠かせないワークなのです。
ただのホワイトデー、しかしそこにもデザイン戦略の学びがあることをみんなに伝えたつもりです。
でも、何人がこのメッセージを受け取ってくれたかなぁ、、、、、
1人でも多くの人が感じてくれたら嬉しいです。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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