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18年目 最後の夏休みの自由研究

旅
Sep 17,2024

子供がいらっしゃる方はきっと経験あると思うんですが、夏休みの旅行先を決めるのは子供の年齢が大きく関わってきますよね。

子供が小さい時はリゾートに徹して、移動を極力しない旅に。

観光はほぼなしで、水遊びにフォーカスするしか選択肢はありません。

そうすると、やはりプールのあるホテルや海の近くのリゾートに限られてしまう。

世界遺産のパルテノン神殿が自由研究のテーマです
沖縄などは最適でしょう。
松本家も沖縄へは離島含めて、10回近く行きました。
ホテルのプールや海にいるだけで子供たちは楽しいので、親としてもとても楽です。
タイのサムイ島やインドネシアのバリ島、フィリピンのプーケット、ベトナムのホイアン、そして定番のハワイにも連れて行ったけれど、残念なのは、小学生以下だと大人になった時、ほとんどそれを覚えていない可能性が高い。
昔はミラノやバルセロナ、パリ、ロンドンなど海のない場所にも連れて行ったこともあるけど、投資効果はめっちゃ低い。
そして歩かない子供を連れて、真夏のシティを回るのはめちゃキツイ。
イビサ島にも2回連れて行きましたが。。
イビサも下田の海も、子供たちにしたら同じです。
ホテルに宿泊して海で遊ぶという行為だけなら、場所を問わずどこでも楽しいのです。
水じゃなくて街を見て欲しいのだけどね。

海のリゾートも悪くはないけど、旅はやっぱりカルチャーでしょう。
その土地のカルチャーに触れると、その旅行は記憶に深く刻まれます。
知的欲求が刺激されるしね。
2年前に広島のしまなみ海道に行ったけど、夏休みに海じゃないシティの旅をしたのは実に10年以上ぶりで、やはりとても楽しかった。
ホントに楽しくて、やっぱり旅はシティだわと思ったんですが、
子供に感想を聞いてみると、尾道の階段上るのは暑くてキツかった、、、とのことで、やはり中学生までは歴史や土地のカルチャーが、階段を上る行為を上回る刺激にはならないということが明白になりました。
尾道と同じく、アクロポリスは歩いて登ります。
去年は受験生がいたので遠くへは行かなかったけど、コロナも収まり、無事受験も終わったんで、開放的な気持ちになったこともあって、またシティに行きたいという気持ちになってました。
2年前のしまなみ海道の時より、子供たちも少し大きくなったので、再チャレンジです。
同じタイミングで、ギリシャに住んでいる奥さんの30年来の友人から、来年ドバイに引っ越してしまうので、ギリシャにいるのが最後の年だから遊びに来ないかというお誘いの連絡があり。
じゃ今年はギリシャに行こう!!ということになりました。
実に、ヨーロッパに行くのは10年ぶり。
小学生を連れて行ったパリ以来です。
柱の作り方のプランは描いてあげました。
そんなこんなで旅の計画を立てていたら、モデルのタキマキがこの夏、ギリシャの旅を紹介していることが女子の間で話題になって、密かにギリシャがトレンド入りか?という流れが来ており。
そしてパリ在住の同級生で著名アーティストの彼も、ギリシャの島を旅行している様子をインスタにアップしているのを見て、なんだかファッション関係者の間でアツいのかな?と。
と思っていたら、友人でもギリシャに先月行ったという人がいて、なんだか遠いと思っていたら結構身近でアツいんじゃんということもわかってきました。
しかしギリシャって経済破綻した国で、治安大丈夫なのか?物価は?いまどんな感じなの?っていう心配もありました。
などありつつも、とにかくその友人に会うためにギリシャ行きの旅に決めたのでした。

ギリシャまでの直行便はないので、トルコ航空を利用してイスタンブールで乗り換えです。
だいたいアテネまで15時間くらい。
ギリシャと言えば、何を連想しますか?
ギリシャ神話?ヨーグルト?オリンピック?個人的には何と言ってもアクロポリスじゃないでしょうか?
世界遺産のパルテノン神殿があるアクロポリス。
調べてみたらアテネってそんなに大きい街ではなくて、アクロポリスはセンターの真ん中にあって、市街地のどこからでも歩いていける距離。
自分たちが泊ったホテルからも歩いて10分くらいでした。
ギリシャ在住の友人からは、モノ凄く暑いのでアクロポリスに行くなら、あさイチか、夕方にしないとヤバいと言われていたので、僕らはあさイチに行くことに。
しかしまぁあさイチでもめちゃ暑くて、本当に倒れそうでしたね。
日傘を持って行ったけど、日本の日傘のカルチャーは素晴らしい。
ヨーロッパで売れるんじゃないのかな。
現物の柱と模型の柱。ここがテーマです。
2500年前の紀元前に作られたパルテノン神殿。
世界遺産に指定されています。
エジプトのピラミッド同様、いったいどうやってこんな巨大な大理石を運び、積み上げたのか、謎に包まれています。
ギリシャにある山って(自分が見たのは)ほとんどが草木のない岩山で、アクロポリスの丘って言いますけど、市の中心にあるでっかい岩山の上に神殿があるということにまず驚きでした。
その岩山を歩いて登るわけです。
自然が作った岩山の地形を利用して、そこに大理石で神殿を建築したわけですが、これは宗教的な施設であると同時に、戦時の要塞でもありました。
何度も戦火で焼かれ、異教徒たちによって壊され、その一部が現在も残っているという歴史があります。
もの凄く巨大な大理石、神殿のスケールが圧巻でした。
近くにあるアクロポリス博物館にそのレプリカが展示されていましたが、柱は外側にある1列だけでなく、その内側にも柱が2重に立てられていたことを知りました。
いま私たちが見ることができるのは、外側にある柱の列のみです。
しかし大理石1つ何キロあるんでしょうね。
人が運んで積み上げたとは信じられない大きさです。
人間が何トンもある大理石を積み上げる技術がスゴイ。
さてさて帰国後、小学生の夏休みの自由研究のテーマはパルテノン神殿となるわけですが、これが例年通り大変で。
パルテノン神殿をテーマにすると決めたのは本人ですが、見てどう思った?と質問すると、暑くて上るのはホントに大変だったという回答。
大変以外には?と聞いた所、「特にない」
え?特にないの?
大きいとか、どんな用途の場所だったのかとか、どうやって作ったんだろうとか、何か感じただろ
まぁ大きかったかな(冷めた口調)
おいおい、お前なんか感じただろ
小学生ってそんなもんなんですかね。
尾道の階段同様の発言で、投資効果はゼロですわ。
近くにあるアクロポリス博物館にある再現模型
そうも言ってられないので、さっそくいつものようにプランのラフを描いて作り方を決めてから着手です。
時間がない。
パルテノンはほとんど柱しか残っていないので、柱にはこだわりたい。
図書館で、まずパルテノンの出ている本を借りて来いと。
それと現地で撮影した写真を見ながら作り始めました。
余談ですが、これで夏休みの工作を子供一緒に作るのは16回目・・・
こんなお父さんいるんかな。
同じ小学校に18年も通っており、最初に作った16年前とは違ってお父さんももう疲れております。。
そしてこの末っ子は、兄弟の中で一番やる気がない&言うことを聞かない。
毎年、夏休みは喧嘩になるわけです。
今年も例に漏れず、早くやれ→やらない、早くやれ→やらないの繰り返しで、まぁね、暑くて上るのが大変っていう感想だったらモチベーションもそんなにないよな。
前日、もうあと少しで完成
思い返せば、リンタロが小学校の6年生の時は、提出の前日に朝まで2人で徹夜して作ったことを思い出しました。
その日、寝ないで会社に行って働いたけど、あの頃は自分も徹夜できる年齢だった。
今はとてもできないし、何より作る本人もそんなにやる気はない。
とはいえ時間はない、やるしかない。
一番大変だったのは柱でした。
積み上げた感を出すために、柱のピースを積み上げて制作しています。
倒れないよう、芯として木の棒を中心に入れている。
ほとんど柱しかないので、ここにはこだわれと言いました。
あとは写真を見ながら、ディティエールをつくり、最後にパワーポイントでレポートを書く。
今年はそれほど大変ではなかったのは、モチーフとして柱がメインだったからということもあるでしょう。
ホンモノと模型。完成です。
ギリシャで買ってきた小さなお土産も参考にしました。
当日、学校に持って行ったあと、みんなに何か言われたか?と聞いたのですが
「クラスでパルテノン神殿を知ってる子はいなかった」
という、まさかの回答。
小学生はアクロポリスを知らないのですね、、、、、
なんだか、肩透かしというか、そっか、、、という感じです。
確かに小学校では習わないよね。
当日朝の登校時、ドヤ顔の本人
そんなわけで小学校18年目の夏休みの自由研究は終わりました。
なんだか、達成感もそれほどなく、サクッと終わった感じです。
いや、でもこれでいい。
彼がどう感じているかわからないけど、大人になって思い出してくれたらそれでいい。
それが尾道の階段と同じように、パルテノンも暑くて上るのはキツかったという思い出でも構わない。
でも物事に集中することで、得られる達成感をどこかで学んで欲しい。
宿題や工作じゃなくてももちろん良い。
まず自分が興味を持つことだ。
興味が達成感の原動力だ。
すべては君にかかっている。
好きなことを見つけて、とことんやること。
それがキミを成長させてくれる。
何に集中できるか、それをできるだけ早く見つけなさい。

最後の自由研究は終わりました。
これで自分も夏休みの工作から解放されます。
解放感で肩の荷が下りたとかも特になく、もちろん自分の宿題ではないのでやり切った感もない。
今はまったく寂しくないけど、これから寂しいと思うこともあるかなぁ
そういう時は、また何かを一緒にやろうぜ。
誘ってくれよ。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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