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今年は本土返還50年 沖縄の旅

旅
Aug 16,2022

2022年5月、アメリカから沖縄が返還されてちょうど50年が経ちました。

それを考えてというわけではないですが、今年沖縄本島に生まれて初めて行ってきました。

50年前までアメリカだったなんて信じられないですが、そんなアメリカンなカルチャーがあちこちに点在していて、本州にはない独特の雰囲気がありましたね。

沖縄にしかない魅力だと思います。

https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2022/08/post-129.html

映画のスクリーンのような巨大サイズの水槽にビックリ。
でも70年前にはアメリカ軍が上陸して、民間人を含む20万人とも言われる多くの人たちが亡くなった激しい戦場だったということも忘れてはなりません。
嘉手納、北谷浜から上陸したアメリカ軍は、首里に本部を置く牛島司令官率いる日本軍を徐々に南に追い詰めていきました。
日本軍が南下する際に、多くの民間人を巻き込んでしまったことが批判されていますが、最後には南端にある糸満市の摩文仁で牛島司令官は自決します。
これらの経緯について、事実を再現した「沖縄決戦」という映画(岡本喜八監督)があるので、興味がある方は見てみてください。
自分は小学生の時に、父と2人で新宿歌舞伎町の映画館で観ましたが、鮮明に記憶に残っています。
ご本人も戦争に行かれた経験を持つ岡本喜八監督だからこそ、制作できたのではないでしょうか
同じく岡本監督の撮った「日本の一番長い日」と合わせて、この2本は名作だと思います。
「沖縄決戦」はそのテーマのせいか、一般的に語られることがほとんどないですが、沖縄がアメリカから返還されてちょうど50年にあたる今、是非見ていただきたい映画です。
小学生の時に買ってもらったパンフレットが今でも手元に
さらに言ってしまうと、この「沖縄決戦」は、岡本喜八ファンとして広く知られる庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」の劇中いたるところで引用されています。
「沖縄決戦」を見ると、「シン・ゴジラ」との共通点が一目瞭然なのでそちらのファンの方も是非1度見てください。
1971年の作品ですが、まったく古さを感じさせないテンポの良い編集が素晴らしいです。
そして戦争映画でありながら、ウェットではない描かれ方をしているのも良い点だと思います。
(黒沢映画のように、途中で休憩時間がありますw)
沖縄と言えばビーチですが、お気に入りはミッションビーチ。教会が持っている浜なのでミッションという名前がついています。安室ちゃんがロケに来たとは思えない、静かで人のいないビーチ。有料だからというのもあるかもですが、1人300円ですからねー。オススメです。
さてそんな背景を知ると、能天気に「やっぱ沖縄来たんだから映え写真ダヨネー」なんて言えない気持ちになるのですが、多くの旅行者は、僕も含めて戦争も、沖縄がアメリカだったことも知らないので、あちらこちらのビーチで映えの写真を撮りまくっている20代の女子をたくさん見かけました。
特に面白かったのは、ビーチに来ると、まず全員スマホを持って海に入ってくることで、見ていて面白かったな―w
まず海を楽しもうよ!って言いたかった。
彼女たちにとっては体験よりロケ地としての方が優先で、ナイトプールと同じノリなんですね。
ホテルのプライベートビーチも良かった
今回僕が行ったのは、恩納村という村です。
沖縄本島は北がリゾート、南がシティに分かれています。
南北をつないでいるのは国道58号線で、電車は通っていません(那覇にモノレールがあるだけ)
戦前は南北に電車が走っていましたが、戦時中にアメリカ軍に破壊され、その後はアメリカの車社会の影響でハイウェイだけとなりました。
電車が走っていた場所が今の国道58号線になった、そしてアメリカ軍は緊急時でも飛行機が着陸できるよう道路の横幅を広く作った、という歴史があります。
泊ったのはハイアットリージェンシー。12歳以下も泊まれる良いホテル
2つの大きなインフィニティプールがあって素晴らしい眺めです
恩納村は北谷より北に位置していて、リゾートエリアに属します。
行ってみると、リゾートホテル以外何もないw
完全に観光に依存した村でした。
店もほとんどない。
車がないと移動は厳しいですね。
村の何もない風景と、観光客向けの巨大な施設が強いコントラストを生んでます。
フィリピンのアマン、タイのアナンタラ、サムイのバニヤンツリーなどなど、立派なホテルだけがあって、住んでいる人が少ないという、行ったことのあるアジアのリゾート地と同じように見えました。
でも地元の雇用に貢献しているんだろうなぁ。
沖縄が返還されてから、多くの人たちが沖縄を訪れている、その需要がとても大きいっていうことですね。
僕が泊まったホテルは全部で294室ありましたが、ホテル1つでこの部屋数なら、いったい沖縄だけでレンタカー何台必要なの?って思いました。
なぜって、行くギリギリまでレンタカーがまったく見つからなかったというのが理由なんですが。。。
コロナが一時的に落ち着いた時に、海外旅行はまだ自粛した方がいいけど、行くなら沖縄だ!っていう人が、僕含めたくさんいたんじゃなかろうかと推測します。
今みたいなハイシーズンでは、村の人口の何倍もの人が泊まってるんでしょうね。
水族館は期待してなかったんですけど、すごく良かった。
恩納村までは那覇から車で1時間くらい。
有名な美ら海水族館は、そこからさらに車で1時間北上する必要があります。
沖縄の人にも聞きましたが、南のシティに住んでいる人は、北の方にはあんまり行かないんですね。
水族館の周りは、さらに何もなかった。
どうしてあのロケーションに水族館を作ったのかナゾでした。
あるのは巨大なセメント工場くらいで、、、
水族館はとても美しくて、沖縄に行くなら是非1度は行った方がいいと思いましたが、周りには他に何もありませんw
ホテル同様、本土の人たちのための巨額投資と、人のいない村というコントラスを感じてしまいます。
この景色、素晴らしかったなぁ。写ってないけど手前は大草原です
そして最後にもう1つ紹介しておきたい場所があります。
ここも是非行って見ていただきたく。
万座毛(まんざもう)という場所を紹介しますね。
琉球国王が「万人が座するに足る毛(野原)」と言ったことが地名の由来になっています。
琉球石灰岩からなる絶壁、そこから見える夕日が素晴らしい景勝地。
象の鼻の形をした岩が見どころです。
溜息の出るような絶景は、1度見たらきっと忘れられない。
一生で1度は見たい景色です。

琉球の時代からずっと変わらない景色。
きっと琉球王国の人たちの平穏な生活も、多くの人が亡くなった太平洋戦争の沖縄戦の様子も、流通貨幣がドルだったアメリカ統治の時代も、50年前の返還から現在に至るまで、増え続ける多くの観光客の姿も、たくさんの変化をこの景色は見てきたことでしょう。

美しいビーチ、アメリカンなカルチャー、ラグジュアリーなホテルライフ、沖縄は楽しいです。
しかしそれだけではなく、沖縄の歴史、戦争のことも含めて、僕らは知っておかなきゃいけないと思いました。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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